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住友ゴム、タイのコンケン大学と持続可能な天然ゴムに関する共同研究を開始

住友ゴム工業は、タイの国立大学であるコンケン大学とゴムノキの組織培養技術についての共同研究に関する協定を締結し、調印式を実施した。

この研究はゴムノキの植物生理学的反応に関するデータを分析し、収量向上につながるメカニズムを解明することを目的としている。これにより持続可能な天然ゴム調達に向けた取り組みを加速させていく。

次世代材料開発室長の多田俊生氏(左)とコンケン大学 副学長のDr. Thidarut Boonmars氏次世代材料開発室長の多田俊生氏(左)とコンケン大学 副学長のDr. Thidarut Boonmars氏

現在、ゴムノキの苗木増殖で一般的に用いられているのは「接ぎ木」となっており、成長性や耐病性などの点において台木の影響を大きく受けるという。一方、同社が技術確立を進めているゴムノキの一部の組織を分離して試験管内で培養する「組織培養技術」では根と茎が同一の植物体となり、成長に有利になると考えられている。実際に「組織培養」由来の苗は一般的な「接ぎ木」由来の苗と比較して、植え付け初期の成長が早いことが確認されている。

今回のコンケン大学との共同研究では、組織培養由来のゴムノキの苗と接ぎ木由来の苗の生育や葉の形の調査に加え、植物生理学的反応に関するデータを取得して違いを評価し、収量向上につながるメカニズムを解明することを目的としている。

組織培養組織培養

将来的には、コンケン大学からのインターンシップを受け入れることも視野に入れており、ゴムノキの生産性向上だけでなく、生産国の人材育成にもつなげていく。

住友ゴムでは天然ゴムの持続可能性を高める取組みを生産性向上と臭気改善の二つの方向性で進めている。生産性向上では、ゴムノキの成長促進と樹液採取の生産性向上につながる様々な研究を実施中で、 臭気改善では「臭気低減天然ゴム」の開発に成功してる。

同社では「今回の研究を進めることにより天然ゴムの生産性向上を図り、持続可能な天然ゴム調達に向けた取り組みを加速させていく」としている。