タイヤニュース

住友ゴムと村田製作所 タイヤの摩耗を「見える化」する検知システム開発

住友ゴム工業は村田製作所と、タイヤ形状を三次元でとらえて摩耗を検知し、ユーザーへフィードバックす「タイヤ摩耗検知システム」を共同開発したと発表した。2025年より順次ダンロップの直営店「タイヤランド」で同システムの実証を開始する。

タイヤの摩耗確認は、一般的に専用のツールを用いて人が主溝の深さを計測するため、緻密な計測値を要する場合では誤差が発生することがある。また、タイヤの偏摩耗は、主に目視で確認するため、作業者の熟練の程度により精度に差があった。こうした課題に対応するため、同社と村田製作所は、摩耗状態をセンサーで“見える化”し、ユーザーに数値でフィードバックする摩耗検知システムの共同開発を2021年9月から開始していた。

今回は、住友ゴムのタイヤメンテナンスおよびタイヤ開発に関する知見と、村田製作所の通信市場で培った三次元計測によるセンシング技術、自動車市場における技術的知見を融合させることで、摩耗データを高精度かつ三次元で計測する技術を確立。幅広い使用環境や車両、タイヤに対応可能な摩耗検知デバイスを開発した。

「検知システム」のイメージ「検知システム」のイメージ

同システムは、スマートフォンのアプリケーションを用いて摩耗検知デバイスでタイヤをスキャンし、タイヤの表面データをアルゴリズムで解析することで、タイヤ摩耗を三次元で正確に把握することが可能になる。ユーザーには、3段階でタイヤ主溝の摩耗状態が表示されるとともに、偏摩耗があった場合にはその位置がフィードバックされる仕組みだ。

同社ではこの実証を通して、摩耗の傾向からタイヤ交換やローテーション時期を予測し、計画的なメンテナンスにより車両稼働率の向上につなげていく考え。また、摩耗した表面のゴムを貼り替えて再利用するリトレッドタイヤにおいても、ローテーションなどの適切なタイヤ管理によって、土台として利用できる質の高い台タイヤの増加、リトレッド回数の向上に貢献していくという。