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ミシュランなどの合弁会社 スウェーデンに初のタイヤリサイクル工場を建設

仏ミシュランとスウェーデンのエンバイロ、仏アンティンの合弁会社は、初のタイヤリサイクル工場建設に向け、共同投資計画を最終決定した。

スウェーデンのウッデバラ市を拠点とする新工場は、建設に必要となる全ての認可を取得しており、2025年中に稼働する予定。工場では年間約3万5000トンの使用済みタイヤ処理を目標に掲げており、その初期段階で地元コミュニティに最大40名分の環境関連の雇用を創出する予定。

合弁会社ではプラントの建設資金調達に加えて、使用済みタイヤ、回収カーボンブラック、熱分解油の供給に関する複数年契約を締結した。ミシュランは使用済みタイヤのリサイクル・エコシステムの開発を積極的に支援し続けため、カーボンブラックと熱分解油に関する複数年の供給契約を締結した。

また、合弁会社は2030年までに年間最大100万トンの使用済みタイヤのリサイクル処理を目標に掲げ、ヨーロッパ各地に工場を建設する計画。ウッデバラの工場稼働後は他の欧州諸国にも工場を建設し、培った技術の迅速な展開を図っていく。アンティンとエンバイロはすでにこれらの追加工場の建設に向けた資金調達計画に合意した。

タイヤをリサイクルする工程タイヤをリサイクルする工程

グローバルで使用済みタイヤの量は増加し続け、現在その量は欧州だけで年間350万トンに達している。生産される原料の中で最も重要なのは、回収されたカーボンブラックと熱分解油で、これらはタイヤ製造や石油化学産業で再利用が期待されている。今回の共同事業のリサイクル材料を使用することで、従来のカーボンブラックに比べて炭素排出量を90%以上削減できるという。

ミシュランの経営評議会メンバー、ハイテクマテリアル担当ビジネスディレクターのモード・ポルティリアッティ氏は、「この取り組みはミシュランがエンバイロの株主となり、技術を支援するために2020年にスタートした。この産業プログラムの立ち上げは、ミシュラングループの戦略的目標と完全に一致しており、2050年までにヨーロッパ全体でタイヤの環境への総合的な影響を減らし、再生可能資源とリサイクル材料を100%活用することを目指す」とコメントしている。

エンバイロはタイヤを含む廃棄物や使用済み製品から貴重な原材料を回収する特許技術により、環境と経済の持続可能性の向上に貢献を図ることを掲げている。同社の技術を駆使して回収された再生カーボンブラックでタイヤを生産すると、新規生産されたカーボンブラックを使用した場合と比較して、二酸化炭素排出量を最大93%削減可能となる。アンティンは、インフラに特化した大手プライベート・エクイティ・ファーム。